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事例1分析③ 3代目の事業展開は無関連多角化なのか?

今回は、事例1で気になっている論点を書きます。第1問設問2では無関連多角化だから、又は強みを活かせないからと記載した人が多いようですが、本当に3代目社長の事業展開は、強みを活かせない無関連多角化であるのでしょうか?
 与件を改めて読み直しましたが、自分の結論としては、一部は無関連多角化ではあるにせよほとんどは関連多角化であるし、強みを活かせないについては関連多角化だが諸々の理由により結果として強みを活かせなかったということであろうと考えています。

3代目社長が始めた新事業を列挙してみますと、①自社企画のカレンダーやメモ帳、レターセットなどの印刷関連のオリジナル製品開発②自社での社員教育の成功体験や施設を活かすことを目的とした企業研修事業や工芸教室などの教育関連事業③当時のCIBコーポレート・アイデンティティCブームの下で、地元のコンサルティング会社と提携して、企業イメージのトータルデザインを手掛けるコンサルティング事業④自らの顧客である写真館の店舗デザインを助言するといった事業⑤漫画雑誌やタウン誌を編集し発行する出版事業、です。各々がA社の強みを活かせない事業領域であるかを見ていくと①は企画力、②は教育のノウハウ、③
、④はデザイン力が活かせ、⑤のみは強みを活かせるとはいえないと言えるのではないしょうか。
つまり、新事業5事業のうち、4事業は強みを活かせる関連多角化であることから、無関連多角化は明らかに違うはずです。

ですから、関連多角化なのに結果的には強みを活かすことができなかった諸々の理由を考えるのが妥当でしょう。ここまできたら、事例1の重要フレームワークである組織構造、組織文化の視点を念頭に置くことができたかが勝負の分かれ目です。組織構造については与件に記載されている機能別組織、経営資源の分散に注目すべきで、組織文化については、売上の大半を占める学校アルバム事業への依存を思い浮かべることができたかどうかが正解への正しいルートになるはずです。

「多角化の失敗だからなんとなく無関連多角化だろうと安直な考えを抱くようだと合格させない。」と試験委員がメッセージを送っているような気がしてきます。また、1事業への依存体質を挙げた受験生が少ないのも気になるところです。昨年も売上の60%以上を占める事業への依存が問われ、今年はそれ以上の売上の80%依存なのにもかかわらず、なぜでしょうかね。
 以上の通り、第1問設問2は多角化の失敗の理由を与件、組織人事のフレームワークを活用して綿密に思考、類推していかなければならない難問と言えます。
 今年の事例1は、一見すると与件からそれなりの根拠が見つかり比較的取り組みやすそうでしたが、なかなか手ごわそうです。自分の分析では、第1問設問1は与件丸写しで誰でもできる易問ですが、それ以外は一筋縄ではいかない難問ぞろいではないかと見ています。


 
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No title

>強みを活かせない無関連多角化であるのでしょうか?


ビジネスモデルという切り口から見れば学校アルバム=寡占市場+連続生産
継続的契約ゆえに市場の囲い込みに成功=事前の需要予測ほぼ100%で不良在庫なし
特に営業活動不要。つまりプロダクトアウト型連続生産(経済学の座標に投射すれば規模の経済)



対して、印刷関連のオリジナル製品開発は個別の顧客への営業活動(需要の掘り起こし)
が必要なマーケットインモデル。

つまり技術を活かすマーケットセグメントが違うという意味ではシナジーが生まれなかったと。

No title

というところまで考えたんですが、考えすぎの隘路を避けるため
雑に

コンサルティングや教育事業の展開のための人材が社内に育っていなかったから。
=サービス業に進出するにあたり非関連事業だと指摘して可もなく不可もなく答案に逃げました。

No title

pontaka様

コメントありがとうございます。

この問題は結果として強みを活かせなかった組織人事要因が問われていると思いますので人材が育たなかったというのは良いと思いますよ。

多角化の定義

アンゾフの定義によれば新市場*新製品だけが多角化、それ以外は「拡大」と区分しているようです。(つまり多角化の定義が狭い)


アンゾフの定義を厳密に当てはめれば


④が多角化に該当


①、⑤自社企画のカレンダーやメモ帳、レターセットなどの印刷関連のオリジナル製品開発
は水平方向への「拡大」ということになりますね

No title

pontaka様

おっしゃる通りです。安易に多角化という言葉を使ってはいけませんね。
要するにいろいろ手を広げすぎたのに、写真アルバムを中心とした機能別組織のままの為経営資源が分散したことが問題の真因でしょうね。
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りっちー

Author:りっちー
30代前半のサラリーマン&中小企業診断士です。

中小企業支援や中小企業診断士試験のことを中心に綴っていきます。


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