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29年事例1 分析⑤ リーダーシップ

引き続きラストの設問5についてです。
設問文から事業承継の問題であることは明らかですが、
A社のどういった部分を承継していく必要があるのかがあいまいなままで思考を進めていくと
やや題意を外した解答となってしまうでしょう。
要はA社がこのままでは近いうちに失ってしまい、失ったことにより経営が成り立たない程の
大きなものは何かということをはっきりさせる必要があるということです。
それは、「共に苦労を乗り越えてきた戦友の多くが定年退職したA社」から類推して
残った戦友(専務などの経営陣)と社長自身でしょう。
つまり、リーダーシップがとれるマネジメント人財がいなくなるという問題が近い将来に生じるということ
を指摘する必要があるのです。

この問題はマナジメントレベルに焦点が当てられた問題であると考えられますが、
具体的にどの階層のマネジメント人材を育成又は獲得していかなければならないのでしょうか。
①トップマネジメント
②ミドルマネジメント
③ローアーマネジメント
の3つの視点で考えていきましょう。
①→長い間、社長が統率してきた会社であり、また、機能別組織ですから、自分の所属する部門のことはわかっていても経営全体を理解している人材はいなさそうです。社長が辞めるとトップマネジメントの弱さはA社の存族を脅かすような大きな問題となりそうです。対策としては、A社の経営の方向性も踏まえて、首都圏進出を担う子会社を設立して子会社の社長に大幅に権限委譲することが考えられます。
②→営業部門のトップが戦友の一人である専務ですから、専務がいなくなると、ミドルマネジメントも弱体化すること(社長が率いている総務部門も同じ)が予想されます。ただ、機能別組織ですから、営業部門の経験が豊富な人材に権限委譲することでミドルマネジメントの問題は比較的容易に解決されると予想されます。
③→この階層のマネジメントは実際のところどうなっているかは与件からははっきりしませんが、今後の全国展開を進める上での経営課題、つまり直営店舗運営、商品開発体制を現場で引っ張る人材の育成は必要不可欠であることは自明です。両方とも経験が無いのですから斬新な視点を持ったチャレンジ精神が求められるでしょう。
  
 以上の考察をまとめて、解答を作成してみました。
課題はリーダーシップをとれる人材の不足である。①機能別組織であり全社的視点で経営を行える人材の不足に対しては、首都圏進出を担う子会社を設立し子会社の社長に権限委譲を行い次代の社長を育成し、②各部門の経験豊富な社員を各部門長に抜擢し、③営業や新商品開発の体制構築を推進できる人材の育成が必要である。
 
 
 
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29年事例1 分析④ 

続いて設問4の分析です。
全国市場に進出する際のリスクが問われていることははっきりしていますから、
題意は明確だと思います。与件に記載のとおり、新商品開発が経営課題となっている
ことから新商品開発面のリスクは外せないでしょう。
あとは、第3問で全国市場に向けて、製造面での課題は克服できている
ことから、第4問では営業面の課題が問われているのではないかと素早く仮説を立てて
営業面の課題に関わる部分を与件から見つけ出すことが重要でしょう。
製造業の戦略問題では、製造面と営業面の二つの視点で解答作成を進めると
たいていうまくまとまりますので、製造面と営業面の二つの視点はフレームワークとして
持っておくことは得策かと考えています。

新商品開発と営業面の視点を持つことはそれ程難しくないですが、具体的にはどういうリスク
なのかを特定するのは、与件に明確に書かれていませんしいろいろ考えられることから、
かなり難しいと言ってよいと思います。ですので、この問題は今年の事例1最高の難易度かと。
このように相当な類推が必要な問題は組織人事事例であることを念頭に置いて組織人事
に関わるフレームワークを駆使して書くことが合格点を取るためには非常に重要となってくる
はずです。

受験生の解答がばらけていることから、解答の許容範囲は広いと推測します。その中で点差が付く要因は、
いかに組織人事の視点で書かれているかという点ではないでしょうか。

自分は、新商品開発では直営店を持ってないこと、営業面では営業部が配送や在庫管理を行っており
営業業務専任ではない事に注目しまして、以下の解答を作成しました。

直営店がない為顧客ニーズを把握するためのノウハウを蓄積しておらず、ニーズに合致した新商品開発
ができないリスク、営業部門の人数不足や営業未専任の為急激な取引拡大に組織的対応ができないリスク
がある。

29年事例1 分析③ 戦略メリットとは

事例1問3は、戦略メリットは具体的には何かを明確に解答に盛り込んだかが
勝負の分かれ目です。試験委員はメリットに戦略という言葉をわざわざ追加して
設問に記していることから、戦略という言葉に試験委員のメッセージが相当込められている
と判断してよいでしょう。
戦略という言葉から、全体戦略上のメリットを答えることが求められているはずです。
全体戦略で一番重要なことは、当然、首都圏への進出、全国展開ですから、
首都圏への進出、全国展開を進めるにあたってどのようなメリットがあるかを答える必要が
あるでしょう。解答の骨子は「全国展開を進める上でメリットがあった。具体的には①~、
②~である。」でよいと思います。
具体的な内容については与件に参考箇所がはっきりとありますから、わかりやすいですね。
①現状は手狭ですから、工場団地移転のメリットは広い工場を確保できること、②国際標準規格
である HACCP(ハサップ)という言葉から、安全な製品を安定的に供給できること、をメリットとして
挙げて良いのではないかと考えます。売上8億を30億に増加させるというかなり挑戦的な経営目標
を実現するためには、量的な拡大はもちろんですし安定的な供給というのは重要な要素ですから
メリットは上記二つで間違いないはずです。
あとは、地元の企業との連携ができるというのもメリットかもしれませんが、急激な量的拡大という目標
に沿うメリットは想起できないことからちょっと違うかと思っています。
以上により、下記の解答を作成しました。
全国展開を進める上でメリットがあった。具体的には①工場団地移転により広い工場を確保でき
生産力を拡充することができ、②HACCP(ハサップ)取得により全国市場に向け安全安心な供
給体制を構築できた。

この問題では、全国市場に向けて、製造面での課題は克服できていることを示唆しています。
で、次の設問4を見ると、全国市場に向けてのリスク、つまり経営課題が問われています。
次の設問4では、設問3で解決した製造面以外、が問われていると仮説を立てることは重要です。
製造面以外ですから、営業面の課題を想起できたかが設問4を解く上で鍵を握っています。
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りっちー

Author:りっちー
30代前半のサラリーマン&中小企業診断士です。

中小企業支援や中小企業診断士試験のことを中心に綴っていきます。


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